「和蘭 佛蘭西コンシユル兼 瑞西國 貌利太泥亜コンシユル エスクワイル エーフル・エヂガワル
以書翰申入候、我慶應二年寅二月廿日大町居留地築立之儀ニ付各国岡士運上所おゐて會議之節、同所居留地築立候儀ニ候ハゝ地蔵町居留地之方者同月より三ヶ月之間ニ地所借受候もの無之候ハゝ、自国人江貸渡可申旨同僚小出大和守より申入、右地所繪図面江地税書入相達し置、其後大町築立之方者當分見合相成候儀ニ有之、然ル處地蔵町築立地之儀者于今借請候もの無之、右之政府おゐて莫大之入用を費し際限なく空漠之
地ニ属し置候てハ、右入用仕埋方も無之候間、已来自国人之内望之もの江者貸渡候積ニ有之候間、外国人之内ニ而も相望候もの有之候ハゝ、兼而申入置候通り之地税を以て貸渡可申候間、其国人共江改而布告被致否早々回答有之度候、此段申入度如斯候、謹言
慶應三年卯三月 杉浦兵庫頭（花押）」